Ⅱ.アディショナルタイム決勝弾
「あのー、すみません。このまま高速でフェラされてもイク気がしないので緩急つけてもらってもいいですか?」
失礼を承知で決死の提案をした。
普通に考えれば高速であればあるほど抜けると思うだろう。
しかしその時の私はパニック状態であった。
とにかくこの均衡を破らなければと考えに考えこの策を思いついた。
彼女は何を訳のわからんことを言っているんだと言わんばかりに疑念の目を向けてきたが軽く会釈をすると、やわくなってきている珍棒を抜き取ることなく咥えたままスローダウンさせた。
期待とは裏腹に息子は以前に比べてより一層元気をなくしていった。
最後の一手を尽くしもう後がない私は絶望の淵に立たされた。
そして無情にもコールが鳴り響く
「11番さん終了のお時間ですぅぅー」
あー終わった…
このまま寸止め状態の野獣を野に放つことになるのか。
私は悔しさともどかしさでなにも考えることが出来なかった。
諦めて帰ろうとしたその時だった。
嬢が一言
「大丈夫。」
とおもむろに呟いた。
すると次の瞬間、超高速フェラを繰り出してきたのだ。
これまでとは桁違いの速さだ。
"本気"の抜きをみた。
このままでは帰さないというプロの魂胆からくる鬼気迫ったその高速芸はまさに圧巻だった。時間オーバーをしてでも職務を全うする職人の技を前にして私はただ身体を預け見守るしかない。
緩急をつけて下さいと、でしゃばった提案をしたことを思い出し恥ずかしくなった。
素人の突拍子もない提案を受け入れつつも高速フェラに切り替えて抜きにくるプロの意地は並大抵の努力では得ることができないだろう。
そんなことを考えていると状況は一変、嬢の熱意に負けてか息子は元気を取り戻し絶頂へのカウントダウンは始まっていた。
体中に熱を帯びるような感覚になると全身を駆け巡る血液がただ一点を目指し進んでいくのが伝わってきた。がむしゃらに発射台を目指す白の戦士達は我先に外界へ出んとしている。
そして、ついに歓喜の瞬間が訪れた…
溜まりに溜まった4日分の戦士達が竿を伝い嬢の口内へ侵入した。
それと同時にどっと疲れが押し寄せてきた。
彼女はそれを全て受け止め、ティッシュで処理をした。私もウェットティシューを貰うと、
今日のお前は敢闘賞だ。
アディショナルタイムに決勝弾、よく頑張った。
そんな労いの言葉をかけながら優しく息子を拭いてあげた。
「いっぱい出たね!最後にいけてよかった!ちょっと待っててね。」
そう言われて頷いた私を確認すると嬢は奥の部屋へ消えていった。
しばらくすると手紙を持った嬢が帰ってきてそれを手渡されると私は店を出た。
店を出るとまだ一緒に入った先輩は出てきていなかった。淫らな店の前で人を待つのも癪なので先に居酒屋へ帰ることにした。緊急事態宣言が発令されている影響でどの店も閉まっており辺りは真っ暗闇に包まれている。
とぼとぼ帰っているなか様々な感情が頭の中を交錯した。ただ一つ確固たる決意が生まれたのは確かだ。それはこれから先の人生、自らの意思で風俗には行かないということである。
もちろん気持ちよかったのは事実だ。
しかし気持ちよさ以上に虚無感の方が強かった。賢者タイムの影響も少なからず受けているかもしれないがそれを差し引いても風俗に通う人の気持ちが理解できなかった。
フェラをされた時、はじめこそ快感を得られたが時間が経つにつれてなんとも言えない感情が湧き上がってきた。
これでは自分でやった方がいいのではないか?
あの手この手を使って女の子を落とそうとする時間や労力を使うことがこの上なく無意味に感じられた。そして私は確信した。性欲があまりないのだと。
人並み以上に性欲が強い人間だと自負していたのだがどうやら違うかったらしい。
かつて無心に大きなおっぱいばかりを追い求めていた少年の心はもう存在していない。
私は生まれ変わったのだ。そう信じている。
しかしながらこの決断に至るには時期尚早なのかもしれない。
なぜなら今回の嬢は可愛かったのだが、いかんせん乳が足りていなかった。
もし理想のカップを持った美女が突如現れた時今の考え方を保持し続けることができるのか自信が持てない。広がる楽園を目の前に己の哲学を放棄し、猿の如く乳を貪る可能性があることは否めない。
男に生まれた以上それは仕方のないことだ。
だから私は未知への探求をやめない。
ピンサロで性欲が満たされないことは今回で十分理解できた。なので次は風俗でどうなるのか体を張って調べたいと思う。
もちろん巨乳の美女で。