Ⅲ.エピローグ

聞いた瞬間もしかしたらタブーの質問だったのかもしれないとひどく後悔をした。

しかし嬢はなんの躊躇いもせず笑顔でこう答えてくれた。


「お小遣い稼ぎだよ! 」


さらに余計なお世話かもしれなかったが、 そのお金 を貯める目的、つまり夢や希望があるのかを尋ねた。すると彼女は特に何もないと言う。

そう、23歳 の会社員である彼女はただ旅行や趣味に使うお金を稼ぐためだけに他人のちんぽをしごき、性欲を満たしているのであった。

 


私は心のどこかで幻想のようなものを抱いていた。 というのも風俗堕ちする人というのは何か重大な問題を抱えて、どうしようもない人が来るところだと思っていたからだ。

しかし実際は全く生活に困窮している様子もなかったので少し拍子抜けした。

 


そんな考え事をしているうちに彼女は続けた、

 

「3日前に初めてこの業界で仕事するようになったん だけど、Hの経験はいっぱいあるんだよ〜!」

 

 


知らんがな

 


そう思いながらも少し興味があったのでどんな経験があるのか質問してみた。

 


すると、彼女曰くほとんどのSEXはクラブの男との ワンナイトらしい。

そんな嬢ではあったが、私をかなり可愛がってくれたのも事実だ。 ワンナイトで捨てられる男にしかほとんど出会ったことがないらしい。どうすればこんな若くて純粋な子に会えるんだろーと言っていた。 おそらく町中を探せばどこにでもいるだろう。 しかし住む世界が違えば交わりえないものなのかもしれない。

 

世の中には色んな女性がいるものだな...

 

私はそんなことを考えながらシャワーを止め、 服を着た。

 


このあとどうすればいいのか問うと、 普通は2人で一緒にホテルを出てお別れをするらしい。 ごく稀にそのまま嬢を帰した後、ホテルで1人残る者もいると言う。そういう人は賢者タイムを味わいたいタイプなのかなと勝手に想像した。

 


エレベーターを2人で降りると方向が同じだったので歌舞伎町の街を少し2人で歩いた。

 


私はそこで今日はいい経験になったと感謝の言葉を伝えた。

彼女はかなり嬉しかったようで、


「今度道であったらHしようね!」

と言ってきた。

 


リップサービスだとは思うがなかなか気の利く女の人だと思った。

少し名残惜しかったがお別れの時間がきた。

 


「では、また。」

「うん!次も待ってるね!」

 


嬢は軽く手を振ると、激しく光るネオン街の奥へと消えていった。 (完)